──歌の主人公は20代後半とのことですが、<This is my way 誰も奪えない 情熱>といった言葉は、デビュー30周年のタイミングの及川さんが歌うからこそ、より説得力が増しているのではないかと感じました。

確かに、<This is my way>というのは、長年この稼業をやってきたからこそ出るワードだなと思います。だって今さら、別の道を選べないよね(笑)。人生に“もしも”や“たられば”はないからね。歩んできた道こそがすべてだよね。

──歌詞はスムーズに出てきたのですか?

いや、かなり苦労しました。50代の僕がそんなに青春してていいのかなという迷いもありました。だけど、<一度きり ならば人生 悔いなど残してなるものか>という時代劇的、歴史小説風のフレーズって、今の自分だからこそ、出てくるものなんじゃないかなと納得しています。だから、歌っていても、気持ちいいです。やはり、“悔いなく生きよう”というメッセージは、デビュー以来ずっと発してきたものですし、皆さんにも、自分の人生を有意義に謳歌してほしいなと心から願っています。

──『君はトレビアン』は、リスナーを全面的に祝福するような、愛にあふれた歌の世界が魅力的です。

リズムパターン含めて、『マツケンサンバ』を意識したパーティーソングですよね。この曲も御供くんの仮歌に影響されたのか、“ラララ”だったところに、自然に“トレビアン”というワードがひらめきました。“トレビアン”ってフランス語だし、キザなミッチーが言いそうな言葉だし、しっくりくるなと。説得力が増すように、フランス語のワードを増やそうと考えて、<Salut, Bon voyage!>や<Mon amour>などのフレーズを入れました。これらのフランス語は“良い旅を”“またね”といった意味。再び巡り合うこと前提としたお別れの歌です。

──ワンマンショーの終盤で演奏するのがぴったりです。フランス語とともに、<人間万事塞翁が馬>といった故事成語が入ってくるところもユニークです。

歌詞に困ると、ことわざを使いがちですね(笑)。1月に集中して全歌詞を書いたことによって、<人間万事塞翁が馬><建設的妥協><バラ色の未来>といった言葉が繋がっている気がします。 “毎日を笑顔で生きることだよね”ってことを言いたかったんですよ。それぞれに野心や欲望はあると思いますが、“日々の幸せの積み重ねこそを大切にすべき”というメッセージを、アルバム全体に込めることができました。

──アルバムジャケットの写真もカラフルでにぎやかで、作品の内容を象徴していますよね。

油絵で描いてほしくなりますね。

──初回盤の特典の『NON-STOP ROSY MIX<30th Anniversary Bonus Disc>』も聴きながら、踊り続けられるとても楽しい作品です。これは?

『BE MY ONE』『気まぐれサーカス』といったコロナ期のアルバムで、コンポーザー&アレンジャーとして参加してくれた小松一也さんにお任せして、作っていただきました。

──依頼する際には、キーワードのようなものはあったのですか?

リミックスに関しては、僕が口を出すべきではないと考えていたので、すべてお任せですね。「好きに楽しんで作ってください」とお願いしました。35分きっちり作ってくれて、リミックスというよりもリアレンジのような作品になり、意外な展開の連続で、僕も飲みながら聴いて、おおいに楽しませてもらいました。

──『みず色のワンピース』が途中でサンバ調になったり、『コングラッチュレーション!!』がレゲエだったり、自在ですよね。

僕にはそんな発想はないですよね(笑)。貸し切りイベントやホームパーティーなど、クローズドな飲み会にもぴったりなんじゃないかな。

──アルバムも特典も含めて、これまで築き上げてきた人脈もフル活用した作品となりました。完成した瞬間、どんな気持ちになりましたか?

深くて大きなため息が出ました。そして、トイレでうっすらと涙を浮かべました(笑)。短期間で集中して作った作品だったので、完成したことへの安堵感が大きかったです。自分の集中力の高さもさることながら、参加メンバー、デザイナー、レコーディングスタッフなど、関係各位の皆さんが一致団結して作り上げた作品ですよね。プロデューサーとしての指示が的確であれば、2か月でできるんだとわかりました(笑)。さすがに、このペースで作ることは、もうしませんが、不可能を可能にしたことは自信になりました。30周年のタイミングでこの作品が完成して、また新たな気持ちでスタートを切れたと感じています。